こんにちは!
管理部の金杉です。
今年も不動産に関わるお話をブログで
沢山ご紹介させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様は夜爪を切ると親の死に目にあえないという迷信をご存じでしょうか。
今はこの迷信について、諸説はあるようですが昔の照明が十分でなかった時代に、
小刀で爪を切るのは大変危険であったため、
夜の爪切りは危ないと注意を促すような理由であったという説があります。
理由がわかればどうということはない話ですよね。
今回、もう一つ私が考えた迷信の理由を探っていきたいと思います。
それでは、さっそくこの画像が何の写真なのかお分かりになる方はいらっしゃいますか。
土地を扱う不動産屋なら、特にベテランならほぼ見たことがあるはずです。
はい、それです。井戸の「〇抜き」をしているところです。
なぜこのように土で山を作ってパイプが刺さっているのかというと、
こんな感じのお化けが出てこないようにやるんです。
というのは冗談です。いや、半分本当です。
〇の中に入る言葉は「息」です。
井戸の解体時に必要な作業に「息抜き」というものがあります。
井戸がある土地を売買する際には、
井戸をそのまま使用するということはほぼ無いので、
井戸を埋めて新築を建てることになります。
しかし、井戸がある土地というのは不動産の売買においてはマイナスポイントなんです。
なぜかというと、昔から井戸を埋めてはいけないという言い伝えがあり、
気にされる方がいらっしゃるからです。
そのため井戸のある土地を販売する場合は、
不動産業者として必ずお客様に井戸のあった位置を説明させていただきます。
お客様には心配なく気持ちよく住んでいただくために
一般的にはどの不動産者さんも井戸の解体前に神主さんを呼んでお祓いをしてもらい、
最初の写真にあったようなパイプを土に刺して、息抜きという工程を行います。
井戸の中に宿っている神様(水神様)をこのパイプから外に出すんだそうです。
お祓いが済むと工事作業員が井戸の解体・埋め戻しを行い、最後に息抜き用のパイプを刺します。
お祓いと解体工事という作業が一般的な工程として行われており、
意外と日本人は信心深い民族なんだと感じます。
「息抜き」は井戸に宿っている神様を外に出すためのものなんですよ。
と当時工事担当者から説明されて、へぇーと思っていたのですが、
今回このブログを書くために調べてみるとどうやら別の理由もあることがわかりました。
井戸の底にはプランクトンの死骸が堆積していた場合に
地中からガスが発生することもあるんだそうです。
それを防ぐため井戸を埋める際にはガス抜きの作業を行うとのことでした。
さらに地中にこもった湿気も外に出すという理由もあるようです。
おそらくは本来はガス・湿気抜きの理由で井戸の解体業者が必要な工程として行っていた
「息抜き」が、それを目にした一般の人にはお祓いとセットで行われる
この作業が神様を外に出すためのものに見えたんでしょう。
ガスが地中から上がってくると知り、井戸を埋めると良くないことが起きるという
迷信の生まれた理由がわかったような気がしました。
現在の住宅は建物の土台部分については「ベタ基礎」と言って
建物が建っている範囲は全てコンクリートで覆い尽くす方法がとられており、
地面からの湿気をダイレクトに受けることはありませんが、
昔の家は建物の下の土台は、石の上に柱を乗せたような構造だったり、
柱が配置される部分だけコンクリートを施す「布基礎」という工法だったため、
地面からの湿気が直接建物に当たるような構造でした。
もし井戸を埋めた上に建てた昔の建物の場合は、
地中からのガスを畳を通して直に吸い込んでしまい
体調を崩してしまうような人がいたのではないでしょうか。
井戸を埋めたら体調をくずしたらしいという噂から、
この迷信が生まれたのではないかと推察します。
今の新築はベタ基礎がスタンダードですし、布基礎の住宅にお住まいの方でしたら
地中のガスはとっくに抜けているでしょうからご心配不要です。
それでは、最後に井戸がある土地を購入し新築住宅を建てようと
考えていらっしゃる方がおられましたら一つアドバイスさせていただいます。
正しい工程で井戸の解体、埋め戻しが行われていたのかの確認と、地盤調査を行いましょう。
きちんと不動産屋さんに対処してもらえば、
井戸を埋めても悪いことはきっと起きることはないでしょう。
そもそも昔はあちらこちらに井戸があり、
それを埋めて現在の住宅街が立ち並んでいるわけで、
その度に恐ろしいことが起こっていたら大変です。
それではまた。次回のブログご期待ください。